3.11市民ネット深谷のブログ

脱原発をメインにメンバーが気の向くまま書きます。

フクイチの単純ミス続発の件から考える

流行語大賞というどうでもいい賞がありますが、今年の大賞は「じぇじぇじぇ」でなく、「アンダーコントロール」ではないでしょうか。国際的に堂々と大嘘をついた希有な首相として歴史に刻まれること間違いなしと思います。ところが、どうでもいい賞ですから、どうでもいい「お・も・て・な・し」なども有力となるでしょうなんて、どうでもいい話題から入るのですが、1200万読売ファンの皆様を洗脳してやまない読売新聞が10月8日の社説でとんでもないことを言ってます。これは、どうでもいいと見過ごせません。

小泉元首相の脱原発発言を揶揄してのことですが、「使用済み核燃料や、それを処理した際にでる放射性廃棄物の処分方法は技術的に決着している」とか「放射能は、時間を経ると減り1000年で99.5%が消滅する」なんて、原子力利権の代弁者のような内容です。もっとも冷静に読めば、小泉発言に対する読売の狼狽ぶりも浮かび上がってきます。文字を生業とする新聞にいちゃもんつけると、技術的に「決着」つける話ではなく、この場合は、「確立」だろうと思います。決着は政治的な判断です。また、放射能の半減期の話(消滅でなく半分になる時間です)をいえば、ラジウム226は1600年、プルトニウム239は2.4万年、ウラン238は45億年です(埼玉県のHPから)。放射能という言葉で十把一絡げにいうのは新聞にとって自殺行為ではないでしょうか。

ところで同じ新聞ですが、東京新聞は今日の1面で、このところフクイチで発生している単純ミスを取りあげています。どっちが真のジャーナリズムか良くわかります。

● 9月27日 汚染水の除染装置が停止
  理由:作業用具の回収忘れで配管が詰まった。
● 10月1日 小型タンクから汚染された雨水があふれる
  理由:ホースの繋ぎ換えを知らず作業をした。
● 10月2日 タンクから処理水があふれる
  理由:傾いたタンクへ雨水を入れすぎた。
● 10月7日 1号機への注水ポンプが停止
  理由:電源盤の停止ボタンを誤って押してしまった。
● 10月9日 処理水の塩分除去装置での水漏れのため作業員6名が被曝
  理由:配管を間違えて外してしまった。

こういった一見単純なミスについてですが、作業員の士気の低下などがあるとの見方があります。それも事実でしょう。しかし私はもっと大変な事態も想定できるのではと危惧してしまいます。 

有名なハインリッヒの法則は、1つの重大事故が発生するまでには29個の軽微な事故があり、その背景には300のヒヤリハットがあるというものです。フクイチの事故の時も話題になりましたが、逆の見方も出来るのではないでしょうか。

先に挙げた5つの軽微な事故ですが、公表されてないものもあると思います。当然ヒヤリハットは毎日のように発生しているでしょう。そうすると、新たに発生する重大事故の序章のように思えてならないのです。

4号機から使用済み核燃料の取り出し作業が開始されるとか、遮水壁を造るとか計画されています。たとえば使用済み核燃料の取り出し作業で事故が発生し放射性物質が外に飛散してしまう。こうなると収束作業どころではありません。また、そもそも大量の地下水との格闘だったというフクイチに遮水壁を造ると、液状化や地盤沈下が懸念されます。原子力建屋や本体が倒壊したらどうなるのでしょう。考えるだけでも恐ろしいことです。

フクイチでは、毎日、過酷な状況下での収束作業が続いているわけですが、状況を包み隠さず正確に把握して、東京電力に任せるのでなく、国が原子力事故収束・廃炉庁などの専門機関を作り対応するのが、今取りうる最良の選択と思います。脱原発の専門家などの英知も結集しないかぎり、見通しは暗いと思います。

私など、東電を始めとする原子力ムラ、原子力マフィアの人たちには「倍返し」どころか「百倍返し」をしても足りないと思いますが、出来ることも限界があります。この深谷の地で、身の丈にあった活動をして行くしかないと心に決めている次第です。(今仁@市民ネット深谷)