3.11市民ネット深谷のブログ

脱原発をメインにメンバーが気の向くまま書きます。

選挙雑感(2013年参院選)

戦い済んで日が暮れてというフレーズがありますが、今週はどことなく寂寥感に包まれています。別に戦いに挑んでいたわけでもなく、支持政党なぞもなく、ただただ脱原発派の人たちがより多く当選することを願っていただけですが、やはり予想通りとはいえ悲しくなります。

 

比例で社民、生活、みどり、大地、緑の党が脱原発で統一会派を作り今回の選挙に臨めば、あと二人くらいは国会に送り込めたといってもあとの祭りです。前回の衆院選で滋賀の嘉田知事が新党未来を立ち上げましたが惨憺たる結果でした。緑茶会なるグループができ、今回の選挙にコミットメントしたようですが、反原連の「あなたの選択」キャンペーンの方が限定的ではありますが効果があったように感じます。

 

埼玉選挙区を見ると、これまた予想通りの結果でした。本来接戦になると思われた山根さんですが、民主党の不人気にプラスして原発推進派なので、連合が力を入れても難しかったのでしょう。なぜなら彼と自民党候補との違いがあまり見られないからです。その受け皿となったのがみんなの党の行田さんです。この方、超党派で作る原発ゼロの会に名を連ねていますが、政治的な変遷もさることながら、HPなど見てもスタンスがよくわかりません。みんなの党では、川田龍平さんとともに脱原発の活動を積極的に行ってもらいたいものです。

 

ところで共産党の伊藤さんと社民党の川上さんですが、やはり力不足は否めませんでした。脱原発派としては、タラレバの話ですが、統一候補を作ることはできなかったのでしょうか。失礼ながら東京の吉良さんと違い、共産党が善戦するほど伊藤さんに知名度や魅力を感じませんし、社民党は風前の灯火程度の党になってしまいました。これでは選挙戦は戦えないと思いますし、党員の皆さんもわかっていたと思います。

 

次に比例ですが、自民党と民主党の当選者を見るとあまりにも分かり易い構造なので、その分ガッカリしてしまいます。まず自民党ですが、JA、郵便局、建設業界、医療関係などの業界団体の候補者が並びます。利益誘導型の構造が相も変わらず続いています。敗北した民主党の当選者は巨大な労組ばかりです。自動車総連、電力総連、自治労日教組、NTT、東芝と、民主党脱原発に舵を切りきれなかったことが良くわかります。電力総連や東芝(電機)にしても、労働組合脱原発を掲げ、廃炉や代替エネルギー、自然エネルギーなどの分野で雇用を確保できると思いますし、これが国民に対する謝罪でもあると思うのですが、会社と一体になった利益誘導がここでも踏襲されていることになります。情けない限りです。

 

しかしながら、情けないだけでなく希望も見えてきました。それはやはり東京選挙区の結果です。吉良よし子さんと山本太郎さんの当選です。私は反原連の官邸前・国会前抗議行動に月1回は参加しようと心がけていますが、おそらく吉良さんはほとんど参加してスピーチしていると思います。それが共産党の方針であっても、他党の方々とは桁違いの参加率でしょう。

 

いつぞや、国会前で司会の千葉麗子さんが、「続きまして共産党国会議員吉良さんスピーチをお願いします。」と、紹介した時「私は国会議員ではないんです。」と、はにかみながら言う姿に好感を持ちました。私はてっきり区会議員かなと思ったのですが、今回の参院選に照準を合わせていたのでしょう。その後、彼女をウオッチしていると、必ずA4のいわさきちひろNONUKESプラかカード抱え、反原連のルールに従いスピーチも1~2分で切り上げ短いコールをします。ファミリーエリアを仕切る明日香さんだけでなく、彼女は間違いなく、毎週金曜日に国会周辺に集まる反原発派の人たちの心を掴んでいったと思います。

 

続いて山本さんですが、彼は福島第一原子力発電所の事故直後から、脱原発の態度を表明し俳優業をなげうって積極的に活動してきました。官邸前や経産省前、デモなどで見かけましたが、よくぶれずにめげずにやってきたと思います。坂本龍一さんなどメジャーな人たちの態度表明や活動には敬意を表しますが、もう少し泥臭く市井の中に身を投じていた彼は、頼もしく映りました。不遜なところが見え隠れしますし、危うさもありますが、あくまで市民の目線で、謙虚にそしてしたたかに活動してもらいたいものです。

 

最後に、三宅洋平さんです。今回の選挙のしかも後半戦で知った方ですが、彼は、比例の候補者の中では当選者の得票数からすると、中程でしたが制度のなせる技で落選しました。しかし、間違いなく新しいムーブメントを起こしたと思います。緑の党の存在感はまったくないのですが、最終日の渋谷駅前で行われた山本さんとのジョイント選挙フェスは大成功だったと思います。その中で彼は、聴衆に向かって、私は特別な人間ではなくあなた方の一人がここに立っている、というよなことを言ってました。原発、平和、憲法、TPP、最近ではブラック企業のことなど、自民党政権下で否応なしに降りかかってくる危険性を、若者らしく感じ取り立候補したのです。もう少し時間があれば、台風の目になっていたかも知れません。

 

「吾唯足知」彼が最後にみんなに知ってほしいと言った言葉です。竜安寺のつくばいが有名ですが、これは、ワレタダタルコトヲシルと読みます。釈迦が説いた「知足のものは、貧しいといえども富めり、不知足のものは、富めりといえども貧し」という知足の心を、口を真ん中にして共用し、右回りに配置し図案化したものとして、見たことがある方は多いと思います。私の母校である深谷中学(城址公園にあったとき)の壁に大きく書かれていたことを思い出しました。人間というものは欲が深く、足ることを知ることは難しいものです。お金や名声を得て満ち足りている人でも、実はもっともっとと際限を知らないものです。三宅さんは、そんな人間の弱さを知り、別の生き方を訴えたのでしょう。今後とも彼には注目していきたいと思います。(あくまで個人的な感想です。

今仁@3.11市民ネット深谷)